ある事業所で、営業マンが住宅街の道路を走行中に、一時停止を無視して飛び出してきた自転車と出合頭に衝突する事故を起こして帰ってきました。
運転者「すいません。子どもの自転車と事故を起こしてしまいました・・・」
管理者「相手のケガはどの程度だった?」
運転者「幸いなことに、こちらもスピードを出していなかったですし、膝を擦りむいた程度で済みました」
管理者「それは、不幸中の幸いと言いたいところだが、住宅街で子どもの自転車と事故を起こすこと自体、君の子どもに対する配慮が足らなかったと思わないか?」
運転者「いや。こちらは優先道路を走行していましたし、子どもの自転車は一時停止を無視して飛び出して来たんですよ。誰だって、避けられませんよ」
管理者「事故を起こした者は必ず、相手が悪い自分は悪くないと言うが、日本の道路には絶対に優先という道路はないんだ!」
運転者「エッ、どういうことですか?」
管理者「では、今回の事故のように、君が優先側の道路を走行していて自転車との出会い頭事故を起こしたとき、自分の過失はどれくらいになると思う?」
運転者「こちらは優先道路を走行していたし、向うが一時停止を無視したのだから、100対0だと思いますけど!」
管理者「そこが違うんだな~。自分が優先側の道路を走行していて出会い頭事故が発生したとき、相手が自転車の場合は60%の過失責任が発生するのが基本なんだよ」
運転者「エッ?私の過失が60%もあるんですか?こっちは優先道路を走行していたのに~」
管理者「そのとおり。これが現実なんだよ。君がスピード違反などしていたら、さらに過失が重くなることもある。だから、優先道路を走行していても、相手が一時停止するだろうなんて、油断してはいけないんだよ」
運転者「これまで、優先道路では相手が譲って当然だと思って運転していました・・・」
管理者「なかには、当然優先関係を無視する車がいるので、そういう車と事故を起こすと自分の過失がまったくゼロというわけにはいかなんだよ。だから、日本の道路には絶対に優先という道路はないということだ。その意味をわかってくれたかな?」
運転者「はい、わかりました」
■今月の教訓
事故を起こすと、「自分のほうが優先だし悪くない」と言う人がいますが、日本では「絶対に優先の道路」なんてありません。
優先道路を走行していても、「絶対優先」はないと思って運転すれば、いろいろな危険が見えてきますし、安全運転につながりますよ。