ある事業所で、営業マンが走行中にわき見をして、前車に追突する事故を起こして帰ってきました。
管理者「わき見運転をしていたって、どこを見てたの?」
運転者「すいません。対向車線で白バイに止められていた車がいたので、そちらを見ていました」
管理者「どれくらいわき見をしていたの?」
運転者「ほんの少しの間です。1秒くらいだと思います」
管理者「みんな少しの間と言うけれど、意外と時間がかかっているものなんだよ。たとえば、カーステレオやカーナビを操作しようとして、ほんの一瞬前から目をそらしたつもりでも、2秒間近く、わき見をしているという実験結果もあるんだよ」
運転者「へえ―。そんなに長いんですか?」
管理者「2秒間わき見をすると、車はどれくらい進んでいると思う?」
運転者「エッ、あまり本気で考えたことがないですね」
管理者「たとえば、時速40キロで走行していたとすると、秒速約11mなので約22m走行するし、時速50キロの場合は、秒速約14mなので28mも走行しているんだよ」
運転者「こうして聞くと、長いように思いますが、運転しているとあまり実感がわかないですね」
管理者「だったら、少し言い方を変えてみようか。キミは2秒間目をつぶったままで運転できるかな?」
運転者「エッ、できませんよ」
管理者「そのとおりだ。目をつぶって運転なんかできないよな。でも、キミがしたわき見運転は、それと同じことをしているんだよ」
運転者「そうなんですね」
管理者「試しに、ほかの人の車に同乗して、助手席で目を2秒間つぶって車がどれくらい進むか試してみるといいよ。たった2秒間でも、車が相当すすんでいて目をつぶって走行することの怖さがわかると思うよ」
運転者「ええ。一度試してみます」
■今月の教訓
運転しているときに、無意識のうちにいろいろなものに「わき見」をしますが、目をそらしているのは目をつぶって運転しているのと同じです。
「わき見」をしそうになったら、その間は目をつぶって運転していると思えば、わき見運転をしなくなりますよ。