ある事業所で、管理者が過去に事故を起こしたことがある運転者に話しかけています。
管理者 「どうだい、最近は安全運転を心がけているか?」
運転者 「ええ、何とかやっています。でも、この間事故にはならなかったのですが、救急車と衝突しそうになりました」
管理者 「どういう状況だったんだい」
運転者 「住宅街の信号のある交差点を通過しようとしたときに、右から救急車が出てきて、もう少しで衝突しそうになりました」
管理者 「救急車が来ているのを気づいていなかったの?」
運転者 「はい、サイレンが聞こえなかったですね」
管理者 「聞こえなかった? それは少しおかしいな。普通の状況なら聞こえないはずはないけどな」
運転者 「聞こえなかったですね」
管理者 「ひょっとすると、大きなボリュームでカーラジオなんか聞いていたんじゃないだろうな」
運転者 「・・・・・・・」
管理者 「そうなんだな。まさかデジタル音楽プレイヤーを聞いていたんじゃないだろうな」
運転者 「いや…。カーラジオを聞いていました」
管理者 「そうだろう。それも相当大きなボリュームで聞いていたんだろ」
運転者 「そんなことはないと思いますが…。でも、救急車のサイレンが聞こえなかったので、そうだったかもしれません」
管理者 「運転に必要な情報は、大半は目から入手しているが、かと言って耳から入る情報が重要ではないというわけではないよな」
運転者 「そうですね」
管理者 「安全な運転をするためには、「よく聞く」ことも重要だということだ」
運転者 「はい」
管理者 「じゃあ、救急車のサイレン以外に、耳から入ってくる情報で重要なものはあるかな」
運転者 「うーん、踏切の遮断機が降りるのを知らせる警報器ですね」
管理者 「そうだな、そういう音を聞き逃したりすると、うっかり踏切に入って列車と衝突事故を起こす危険があるよな」
運転者 「そうですね」
管理者 「運転中は、外から入る音も重要な情報なんだよ。これからは、大きなボリュームでカーラジオを聞かないようにしてくれよ」
運転者 「わかりました。これから気をつけます」
安全運転を行ううえでは、外から入る音も重要な情報です。運転中は、カーオーディオのボリュームを下げて、周囲の音を聞き逃さないようにしてください。それが、安全運転につながりますよ。