ある事業所で、雨の日に従業員が運転する車に泥をはねられたという苦情がありました。そこで社内で調査してみると、若い従業員が運転していたことが判明しました。
管理者 「泥水をはねたのがわからなかったの?」
運転者 「はい、そんなにスピードを出していなかったので、まさか泥水をかけたなんて思わなかったです」
管理者 「でも、先方は泥水がかかったと言われているんだよ。水たまりがあるのはわかっていたんだろ?」
運転者 「だから、スピードを落としていたし、水たまりもあまり深い感じじゃなかったんです」
管理者 「自分では、スピードを落としているつもりでも、ちょっとブレーキを踏んだだけで水たまりを通過して、結構泥水を飛ばすことが多いんだよ」
運転者 「はあ。自分では気をつけたつもりなんですけど」
管理者 「車を運転する人は、自分の運転マナーについて、あまり疑問を持っていないことが多いけど、他人から見るとあまりよい運転マナーとは言えないことが多々あるよな」
運転者 「私のことですか?」
管理者 「君だけではないけれど、一度歩行者の立場で他人の運転ぶりを観察してみるとよくわかると思うよ」
運転者 「・・・・・・・・」
管理者 「そこで提案なのだが、今度君が歩行者の立場に立って、他人の運転マナーを観察してみてくれないか?そして、そのときどのように感じたか報告してくれよ」
運転者 「はい」
── 1か月後 ──
管理者 「他人の運転を観察してみて、どうだった?」
運転者 「はい、結構怖い思いをしましたね」
管理者 「どんな運転?」
運転者 「私が横断歩道を渡ろうとしたときに、その前を強引に通過する車が結構いましたね」
管理者 「そういう車は多いよな。君は、そういう運転をしていなかったかな」
運転者 「いやあー、してなかったとは言い切れないですね」
管理者 「じゃあ、雨の日の泥はね運転はどうだった?」
運転者 「水しぶきを上げて走っている車が結構いましたね」
管理者 「君の運転も、そうだったんじゃないのか?」
運転者 「そうでした。これからは他人の運転マナーを見て、自分の運転マナーを見直すようにします」
管理者 「うん、そういう姿勢で運転マナーの向上を図ってくれよ」
歩行者の立場で、他の人の運転マナーを観察してみてください。そのとき不快な思いをしたら、自分がそんな運転をしていないか振り返ってみてください。それが、運転マナー向上につながりますよ。