全てが見えているという錯覚があります

 こんにちは、平野です。

 

 先日のある企業様研修での出来事です。これは、社有車を運転をする部署に異動となった方を対象とした研修です。

 

 業務の運転はプライベートと比べ、責任の所在や範囲、事故発生のリスク等が大きく違います。このような点を踏まえ、業務での運転で事故を起こさないためのポイントを明確にさせて頂くことを目的として研修を実施させて頂きました。

 

 受講者の方は40代の方です。注意深く、周囲をよく見て走行されていました。右折時は、対向車をやり過ごしてからゆったりと曲がることができていました。

 

 しかし、信号のない見落としの悪い交差点へ進入する際に、歩行者を見落としました。形状がややいびつで、左右確認がややしづらい交差点です。加えて、手前の左方から自転車が接近していました。そのため左方中心に確認をしながら交差点に接近されていました。

 

 このとき、右方からも歩行者が接近していました。受講者の方は、左方の自転車にしか注意を払っていません。歩行者には気付かず、左方を見ながら交差点に進入されました。そして、左方の安全を確かめ視線を前に戻したとき、自車の直前に立っている歩行者に初めて気付かれました。

 

 気付いた時点で、歩行者との距離は殆どなくなっていました。事故防止のため、ブレーキを補助し停止させました。過去にブレーキ補助を行ったのも、交差点付近の歩行者の方をひきそうなった場面でした。

 

 いずれの場合も、ご本人様は、交差点に進入する手前で、交差点の全景を見て、注意の対象を1つに絞り込み、他の起こりうる事故や危険を予測せずに曲がっていました。

 

 交差点付近では、1箇所に注意を向けるのではなく、他の危険を見落としているかも知れないと考えるべき場所という認識が必要です。そのためには、確認すれば、全てが見えているという考えを持たないことも大切です。見たら全てが分かるという考えるのではなく、何かを見落としているかも知れないという前提を持って危険を探すことが大切です。

 (平野 勝寛)

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