ある事業所で運転者が、車をバックさせる際に左後ろのボディーをポールに当てて帰ってきました。
管理者 「バックするときに、ポールがあるかないかを確認してなかったのか」
運転者 「はあ、道を間違えて慌ててバックしたものですから」
管理者 「そんな簡単に言われても困るんだよ…」
運転者 「でも、少しへこんだだけですし、保険で直せばいいじゃないですか」
管理者 「保険で直す?」
運転者 「保険に入ってるんだったら、ただで直せるじゃないですか~」
管理者 「なにいっ! ただで直せる? 君はそんな考え方をしているのか?」
運転者 「だって、毎年高い保険料を払ってるんだし~、使わないと損するじゃないですか」
管理者 「君の考え方は間違っているよ」
運転者 「はあ……。どうしてですか?」
管理者 「事故を起こして保険金の支払いを受ければ、翌年から保険料が上がってしまうということだ」
運転者 「どういうことですか?」
管理者 「簡単に言えば、保険会社は支払った保険金の額などに応じて、翌年の保険料を上げてくるんだよ」
運転者 「はあ……」
管理者 「ボディーのへこみを修理しても修理代金は保険で支払われるので、ただで直ったような錯覚をしがちだが、そのつけは来年に支払わなければならないということだよ。まったく!」
運転者 「えっ、そうなんですか」
管理者 「そう。軽微な事故で保険金を請求したら、その後の何年間か保険料が増加して、結果的に支払いを受けた保険金よりも、その後に支払った保険料の増加分のほうが高かったという、笑えない話もあるんだよ!」
運転者 「ただで直ってるわけじゃないんだ…」
管理者 「だから、事故を起こさないようにして、保険を使わないようにすれば、支払う保険料は確実に安くなる」
運転者 「そうですね」
管理者 「最高の割引率までいくと、そこからは下がらないが、その金額はあくまでも安心料だと思っているよ」
運転者 「安心料ですか?」
管理者 「そう。わが社も早く最高の割引率が適用されるように、君も安全運転をしてくれよ」
運転者 「わかりました!」
保険は使えば使うほど保険金が上がります。事故をなくして保険を使わなければ、保険料は確実に安くなります。保険は使わないほうがいちばん得なのです。