ある事業所で、高齢者の自転車と事故を起こした運転者が、相手が一時停止を無視をしたのになぜ自分の過失割合のほうが大きいのか、管理者に聞いています。
運転者 「この間の事故ですけど、私のほうが過失割合が大きいと聞いたのですが、全然納得がいかないのですけど」
管理者 「確かに、住宅街で相手の自転車が一時停止を無視をしたのだから、そう思うのは無理がないかも知れないな」
運転者 「保険会社が言ってきた過失割合はどれくらいだったんですか」
管理者 「君が7割で、相手が3割という話だよ」
運転者 「エーッ、私が7割ですか。信じられない!」
管理者 「確かに、信じられないかもしれないが、過失割合を判断する基準として、“優者危険負担の原則″というものがあるんだよ」
運転者 「〝優者危険負担の原則″ですか?」
管理者 「今回の事故のように、君が乗用車で相手が自転車の場合など、事故を起こせば明らかに車両の小さいほうが損害が大きくなる」
運転者 「そうですね」
管理者 「君が運転していた乗用車と自転車が衝突したら、明らかに自転車のほうの損害が大きくなるよな」
運転者 「はあ。自転車に乗っていたお年寄りがケガをして、入院しました」
管理者 「だから、大きな車のほうにより大きな注意義務、責任を持たせて公平を図っているんだよ」
運転者 「そうなんですね」
管理者 「これを〝優者危険負担の原則″と呼んでいるんだよ。過失相殺の認定基準は、この原則と〝被害者の保護″が基本となっている」
運転者 「そうなんですか。ところで、優者の順番ってどうなっているのですか」
管理者 「順番としては、四輪車→自動二輪車→自転車→人となり、同じ人でも、子どもや高齢者に対しては、より過失が重くなる」
運転者 「私の場合は、相手が高齢者だったんで過失が重くなっているんですか?」
管理者 「そう。相手が高齢者や子どもの場合には、ドライバー側の過失が10%ほど重くなるので、70%になったという訳だ」
運転者 「そうなんですか」
管理者 「車に乗っているときには、自転車や歩行者に対して常に「優者」に当たり、大きな注意義務や責任を負っていることを忘れないでくれよ」
運転者 「はい、わかりました」
車に乗っているときには、自転車や歩行者に対して常に「優者」に当たります。その分、常に大きな注意義務や責任を負っていることを忘れないで運転してくださいね。