ある事業所に、車を歩道に乗り上げて止めているために、歩行者の通行を妨げているという苦情の電話がかかってきました。そこで、該当する運転者を呼んで管理者が話を聞いています。
管理者 「先日、△△商店前の歩道にうちの配達車を乗り上げて止めていたので、歩行者が通りにくいと苦情があったんだけど、いつもそういう止め方をしているの?」
運転者 「そうですね」
管理者 「歩道に乗り上げて止まったら、歩行者の通行を妨げることになるだろう!」
運転者 「でも、商品を配達するちょっとの時間だけですよ」
管理者 「自分ではちょっとの時間だと思っていても、その間に歩いている人がいないと言えないよな。車を止めるときには、歩行者の迷惑をかけていないかを常に考えてもらいたいんだよ」
運転者 「はあ?」
管理者 「それから、もう一つ考えてもらいたいのは、会社のイメージの問題だよ。うちの車にはボディに大きく会社名が書いてあるよな」
運転者 「それが何か関係があるのですか?」
管理者 「そんな車が歩道を塞ぐように止まっていて、歩道を歩いている人の通行を妨げていたら、その人はその車の会社に対してどのようなイメージを持つと思う?」
運転者 「そうですね、少しムカつくかもしれませんね」
管理者 「そうだろう。そうすると、会社に対してもいい感じを持たれなくなるよな」
運転者 「ええ」
管理者 「ということは、うちが扱っている商品に対してもイメージが悪くなるよなあ」
運転者 「どういうことですか?」
管理者 「うちの商品は、ほとんどの人に買っていただいている食品を扱っているだろう。その食品の品質も悪いのではないかという悪いイメージを持たれてしまうことだよ」
運転者 「えっ…」
管理者 「消費者がうちの食品に対して悪いイメージを持ったら、どうなると思う?」
運転者 「そりゃ、買っていただけなくなるかもしれないですね」
管理者 「そうだろう。買っていただけなくなったら、うちの会社はどうなる?」
運転者 「売上げが落ちると思いますね」
管理者 「そうだな。だから『たかが車の運転』と軽い気持ちで考えてほしくはないんだよ」
運転者 「はい」
管理者 「当然、車の止め方だけではないよ。乱暴な運転をしていても、会社のイメージを傷つけることもある」
運転者 「ええ」
管理者 「たった一人の社員がしたことでも、我が社全体のイメージを悪くして、商品のイメージも悪くすることもあるということを肝に銘じて運転してくれよ」
運転者 「はい、わかりました」