こんにちは、野村です。
事故再発防止研修では、受講される方と話し合いを行ないます。
対話によって、安全運転の重要性を分かっていただくきっかけになればと考えています。
この面談は「気づき」を促すことが目標ではあります。
しかし「気づき」とは、心地よく優しい言葉ですが、本当はそんなに、なまやさしくはありません。「気づいていただく」ことは簡単ではありません。
なぜならまず「気づく」には、受け手に「気づく能力」が必要だからと、わたしは思うのです。
未知のことに対して「気づく」には、成熟に基づく他者への想像力や共感性、些細なことに目を向ける敏感さがいると考えています。「気づく」能力がある、かつ、その時期がきていないと「気づく」ことはできないのではないでしょうか。
そういう意味で、甘いかもしれませんが、面談では“気づくためのきっかけ”になるだけでも十分である、とそんな風に思っています。
鷲田清一氏は、気が利く人になることが防災に大事だと書かれています。わたしは、気づくことができる人とは、気が利く人と同じような気がします。
また、対話について、鷲田氏はこう書いています。(少し要約します。)
自分の考えを絶対視せず、別の視点・他者の視点からも考える複眼的な柔軟さを持つこと、ひいては、物
事の「両義性」をわきまえ、一つの単純な見方に凝り固まらないことである。
また、人の話を聴くこと、人の気づきを待つことも大切なことである。それは、他者に時間をあげるとい
うことだ。
われわれ研修を実施する側も、肝に銘じるべき言葉だと思います。「気づいていただく」ことを想いに、進むしかないと考えます。
(野村幸一)