緊急走行の意味を考えていますか?

 ある事業所の研修会で、火災現場に向け緊急走行中だった消防車が交差点を直進中に、右折してきた対向車と接触した事故について、話し合っています。

 

管理者「消防車が直進してきているのに、なぜ対向車は右折したと思う?」

 

運転者「先に行けると思ったんじゃないですか」

 

管理者「君も、緊急車が来ていても先に右折しようとするのか?」

 

運転者「そうですね。緊急車の位置にもよりますが、少し距離があれば行こうとしますね」

 

管理者「君は、緊急車が近づいて来ているときに、どんな運転をしなければいけないか、知っているの?」

 

運転者「どういうことですか?」

 

管理者「運転免許を取るときに教習所で習っただろう」

 

運転者「うーん、習ったとは思いますけど、覚えていないですね」

 

管理者「それじゃあ、交差点で緊急自動車が来ていても、先に右折しようとするわけだよ」

 

運転者「……」

 

管理者「道路交通法には〝緊急自動車が交差点に接近してきたときは、他の車両は交差点を避け、道路の左側によって一時停止しなければならない”と定められているんだよ」

 

運転者「そうなんですか?意識していなかったですね」

 

管理者「ではなぜ、緊急車に進路を譲らないといけない、というルールになっているか考えたことがあるか」

 

運転者「いいえ」

 

管理者「まず、緊急車は何の目的で走行していると思う?」

 

運転者「それくらいわかりますよ。消防車などは火事の現場に駆け付けるために走行していますよね」

 

管理者「そうだな。その消防車が途中で君のようなルール無視の車がいて事故を起こしたとしたら、どうなる?」

 

運転者「火事の現場に行けないかもしれませんし、遅れるかもしれないですね」

 

管理者「そういう事態になると、どうなる?」

 

運転者「現場での消火活動が遅れるので、助かるはずの人命が失われたり、建物の類焼なども拡がって被害が拡大すると思います」

 

管理者「考えて欲しいのは、そこなんだよ」

 

運転者「はい」

 

管理者「そうしたことを防ぐために、他のドライバーは緊急車の通行を妨げてはならないというルールが定められているんだよ」

 

運転者「そうですね」

 

管理者「緊急自動車がサイレンを鳴らして走行しているということは、火事や交通事故の現場に向かっているということだから、その通行を妨げないような運転をしてくれよ」

 

運転者「はい、わかりました」

 緊急自動車の通行を妨げるということは、助かるはずの人の命を奪う可能性があります。このことを常に意識して、緊急自動車の通行を妨げない運転を心がけてください。

 

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