ある事業所で、社員3人が社有車に乗って得意先に向かう際に、後部座席に座った社員がシートベルトを着用しませんでした。助手席に座った管理者がその社員になぜ着用しないのか、話を聞いています。
管理者「君はなぜシートベルトを着用しないんだ?」
運転者「これから向かう所は一般道路しか走らないですし……」
管理者「それで着用しないというわけか」
運転者「はい。でも運転するときや助手席に乗るときは着用しますよ」
管理者「高速道路ではどうなんだ?」
運転者「後部座席に家族を乗せているときはシートベルトを着用させますよ」
管理者「その違いは、どこにあるんだ?」
運転者「それは、違反点数がつくかどうかですね」
管理者「どうも君の話を聞いていると、なぜシートベルトを着用しなければならないか、ということを理解していない気がするな」
運転者「えっ」
管理者「罰則や違反点数があるかどうかではなく、何のためにシートベルトを着用するのかを考えて欲しいんだよ」
運転者「着用する目的ですか?」
管理者「そう」
運転者「それは、事故を起きたときに乗員の安全を守るためでしょう?」
管理者「そこまでわかっているんだったら、乗車位置の違いや走行している道路の違いで、着用するしないを決めるのはおかしいとは思わないか!」
運転者「うーん」
管理者「君は後部座席は前席よりも安全だと思っているかもしれないが、後部座席でもシートベルトを着用していないと車外に投げ出されて死亡することもあるよ」
運転者「はあ」
管理者「もう一つ、一般道路は高速道路よりもスピードが出ていないから安全だと思っていないか?」
運転者「そうかもしれないですね」
管理者「確かに高速道路ではスピードが出ているから、事故を起こしたら大きな衝撃を受けるが、だからと言って一般道路がまったく安全だというわけではないよな」
運転者「はい」
管理者「一般道路でも相当のスピードが出ているわけだし、事故が起きたときに後部座席に座っているからといって無傷で済むわけがない」
運転者「そうですね」
管理者「シートベルトを着用するのは、命を守る大切な安全装置の一つと考えてもらいたいんだよ」
運転者「はい」
管理者「これからは、高速道路に限らず一般道路でも全席着用するのが当たり前という意識を持って、同乗者にも着用を働きかけてくれよ」
運転者「はい、わかりました」