むやみにクラクションを鳴らさない

 ある事業所で、社員が交差点に止まっていた前の車にクラクションを鳴らしたため、「お宅の社員に威嚇された」と苦情の電話がかかってきました。管理者がその社員に話を聞いています。

 

管理者「どういう状況でクラクションを鳴らしたの?」

 

運転者「信号が青に変わったのになかなか発進しないので、プーと鳴らしたんです!」

 

管理者「プーッと、強く鳴らしたの?」

 

運転者「いえ、そんなに強くはないですよ」

 

管理者「君は強く鳴らした意識はないかもしれないが、相手が苦情を言ってくるくらいだから、ちょっと強かったんだと思うよ」

 

運転者「そうですかね……」

 

管理者「不満そうだが、クラクションは鳴らし方によって、相手の受け取り方が違うから注意が必要だよ」

 

運転者「どういうことですかね」

 

管理者「君が言うように『信号が青に変わってますよ。発進してください』という意味なら、『プッ』と短くて軽い感じで鳴らすんだよ!」

 

運転者「うーん」

 

管理者「そうすれば、あまり相手に不快感を与えることは少ないと思うよ」

 

運転者「そうですか?」

 

管理者「ところが、『ブ―ッ』と長くて強い感じで鳴らせば、『早く発進しろよ』といった感じになり、相手に不快感を与えてしまうよな」

 

運転者「それは、そうですね」

 

管理者「君の場合は、どちらかと言えば、これに近い鳴らし方じゃなかったのかな」

 

運転者「はあ……」

 

管理者「今、クラクションの鳴らし方の話をしているが、そもそもクラクションというのはむやみに鳴らすものではないんだよ」

 

運転者「いけないんですか?」

 

管理者「そもそも、クラクションは危険防止のためにやむを得ないときにしか使用が認められてないんだよ」

 

運転者「そうなんですね」

 

管理者「おいおい、これは自動車教習所でも習っただろ」

 

運転者「あまり、記憶にないですね」

 

管理者「だから、君のように前の車に注意を促すためにクラクションを使用するのは認められてないんだよ」

 

運転者「そうなんですね」

 

管理者「クラクションを鳴らされたことに腹を立てて、殺人事件に発展したこともあるんだよ」

 

運転者「えっ、そうなんですか」

 

管理者「これからは、必要もないのにクラクションを鳴らさないようにしてくれよ」

 

運転者「はい、わかりました」

 本来クラクションは危険防止のために使うものですから、それ以外で使うと相手にいい印象を与えません。トラブルのもとになりますから、クラクションはむやみに使わないようにしてくださいね。

 

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