ある事業所で、出張先でレンタカーを運転していた社員が、信号待ちで減速した前車に追突する事故を起こしました。管理者が事故の報告を受けています。
管理者「減速した前車に追突したんだって。わき見でもしていたのか？」
運転者「いいえ、前車が減速していたのはわかっていたのですが、ブレーキを踏むのが遅れてしまって」
管理者「ブレーキが遅れたって、どういう運転をしていたんだよ」
運転者「会社の車に乗っているつもりでブレーキを踏んだのですが、なかなかブレーキが効かなくて……」
管理者「じゃあ、ブレーキの効きが悪かったのか？」
運転者「そういうわけではないのですが、ブレーキを踏んでもなかなかブレーキが効かなくて……」
管理者「たとえば、どんなふうに？」
運転者「うーん、ブレーキペダルを少し深く踏み込んでからブレーキが効き出したような感じがしました……」
管理者「ということは、君が運転していたレンタカーはそういう車だったということだよな」
運転者「そうですね」
管理者「だったら、早めにブレーキを踏むとか、初めから強めにブレーキを踏むといった運転が必要なんじゃないか？」
運転者「そうですね」
管理者「ところで、君が借りたレンタカーは社有車と同じような車じゃなかったのか？」
運転者「それが同じような車種がなくてですね、今まで運転してことがない車種だったんです」
管理者「じゃあ、レンタカーを借りたときに、スイッチ類の操作やブレーキの効き具合を確かめたんだろ」
運転者「いえ、少し急いでいたので、借りてからすぐに出発しました」
管理者「いくら急いでいたとしても、不慣れな車をそのまま運転して事故を起こした元も子もないだろ」
運転者「はい、申し訳ありません」
管理者「慣れない車を運転するときは、普段は無意識にしている操作も考えながらするので、ワンテンポ操作が遅れたり、今回のようにブレーキを踏んでも思っている以上に車が止まらないこともある」
運転者「はい…」
管理者「だから、初めて乗る車を運転するときは、走行する前にいろいろな運転操作をテストしてから運転してほしいんだよ」
運転者「ええ…」
管理者「ブレーキにしてもレンタカーの店舗を出るときにブレーキを踏むと思うが、そのときの感触でブレーキの効き具合を掴んで欲しいんだよ」
運転者「そうですね」
管理者「しかし、いくら運転操作を確認しても、初めての車をすぐに完璧に使いこなせるわけではないよな」
運転者「そうですね」
管理者「だから、慣れない車を運転するときには、いつもより慎重な運転をしてくれよ」
運転者「はい、わかりました」
他部門の車を借りたり、レンタカーを使ったりして慣れない車を運転することがあります。そのときは、安全な場所で少し練習してから出発するとともに、いつもより慎重な運転を心がけてくださいね。