ある事業所で、社員が得意先との重要な商談に向かう途中に交通違反をしてしまい、違反処理に時間がかかり約束の時間に遅れてしまいました。帰社後に管理者にそのときの状況を報告しています。
運転者「すみません。途中でスピード違反をしてしまい、約束の時間に遅れてしまいました」
管理者「どれくらい遅れたの?」
運転者「20分ぐらいですかね」
管理者「先方は役職者も出席していたから、怒っていただろう」
運転者「はい、電話で少し遅れる旨を報告していたのですが、最初はギクシャクしていました」
管理者「それはそれだろう。大事な商談に遅れて来られたら、誰でも怒ると思うよ」
運転者「でも、商談は上手くいきましたよ」
管理者「それは相手のお蔭もあるよな。でも、いつも上手くいくとは限らないからね」
運転者「はあ……」
管理者「相手によっては、遅刻したことで破談ということもあり得ない話ではないからね」
運転者「それは、そうですけど」
管理者「私が言いたいのは、その前段階の話なんだよ。大事な商談の約束時間に遅れるような運転をなぜしたのかということなんだ」
運転者「わざと違反をしたわけではないですよ。交通量も少なくて下り坂になっていて、知らず知らずのうちにスピードが出ていたんです」
管理者「制限速度50キロの道路を20キロオーバーで走っていたんだよ、当然違反をしているという認識はあっただろう」
運転者「うーん、少しはありましたね」
管理者「もし、違反で摘発されたら、今回のように違反処理に思った以上に時間を使ってしまうことを考えなかったのかと言いたいのだよ」
運転者「あまり頭になかったですね」
管理者「だから、軽い気持ちで違反をするんだよ」
運転者「約束の時間が迫って来て、途中から早くしてくれと思っていましたね」
管理者「そうだろう、もしここで違反をして停止を求められたら、約束の時間に間に合わなくなると考えたら、違反なんかできないよ」
運転者「そうですね」
管理者「今回は、違反だけだったから何とか遅刻して商談ができたが、もし人身事故でも起こしたら、もっと事故処理の時間がかかるから当日の商談はキャンセルになったと思うよ」
運転者「考えてみると怖いですね」
管理者「今回の件で気づいたと思うが、車を運転して仕事に向かうということは、時間どおりに安全に先方に着くということが大前提になっているんだ」
運転者「はい」
管理者「だから、違反や事故をして目的地に着けなかったりすることは、本来の目的である自分の仕事をスタートさせることもできないということだよ。そのことを肝に銘じて安全運転に徹してくれよ」
運転者「はい、わかりました」
車の運転は、目的地に着くまでの移動手段と軽く考えてはいけません。安全に目的地に着いて本来の仕事をスタートすることが最重要であり、そのために事故や違反をしないようにしてください。