音のマナー

 こんにちは、野村です。

 

 先日の通勤電車でのこと。モーターのうなり音、カーブでの連結部のきしみ音、風切り音、流れる車窓はいつもと同じです。

 

 ただ、3月に入り学生が減ったのか、少し混雑がやわらいできています。いつもこうなら随分楽だろうなと思います。

 

 車内は静か。つり革ポールが擦れるギリギリっという音だけがします。

 

 学生たちの賑やかな話し声も、今日は聞こえてきません。風邪をひいているのか、時々小さな咳払いが聞こえてくるくらいです。

 

 そんな誰も声を発していない静かな車内に、シャカシャカという音が。横に立つ人のヘッドホンからの音漏れでした。

 

 その人は50代と思われる男性。彼の手にしたウォークマンからは、ギターとピアノ演奏だけでなく歌声も漏れてきます。

 

 聞こえてきた歌声は薬師丸ひろ子さん。車輪がレールの継ぎ目を越えるたびにするゴトンゴトンという規則的な音にも消されず、歌声は車内に響き渡ります。

 

 ここは公共の場、家ではありません。音への配慮が欲しいなあ。少しマナーが悪いなと思いながら、目を閉じてそんな気持ちを遮断しました。  (次回に続きます)

 

                                           (野村幸一)

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