ある事業所の社員が、マイカーで出勤途中に左側の路地から進入してきた高校生の通学自転車と接触する事故を起こしました。出勤してきた社員が事故の状況を報告しています。
運転者「すいません、出勤途中に自転車と接触事故を起こしてしまいました」
管理者「相手のケガは?」
運転者「はい、自転車が倒れただけでケガはなかったです」
管理者「それは不幸中の幸いだったけど、左側から出てきた自転車に気づかなかったの?」
運転者「ええ、気づくのが遅れました」
管理者「わき見でもしてたのか」
運転者「いえ、してません。前を見て運転してました」
管理者「だったら、なおさら気づくのが遅れたというのは不思議な感じがするよな」
運転者「はあ…」
管理者「ところで、今朝はすごく寒かったけど、車のフロントガラスなんかも凍ったりしてたんじゃないか」
運転者「ええ、凍って曇っていました……」
管理者「当然、運転する前に曇っている部分を取り除いて出発をしたんだろ?」
運転者「ええ、一応は……」
管理者「一応って、何?」
運転者「……」
管理者「ひょっとすると、運転席の前しかキレイにしなかったとか?」
運転者「すみません」
管理者「じゃあ、助手席側のフロントガラスは曇ったまま運転していたの」
運転者「そうなんです」
管理者「だから、左側が出てきた自転車の発見が遅れたんだな」
運転者「でも、まったく見えないということではなく、一部分は見えていましたよ」
管理者「その一部が見えているというのが危険なんだよ」
運転者「どうしてですか?」
管理者「全面曇っていれば、さすがにキレイにしてから運転するだろ。ところが、一部でも見えていれば、運転席の前だけキレイにすれば運転できると錯覚してしまう」
運転者「そうですね」
管理者「周辺とはいえ曇っている部分は確実に見えないわけだから、そこに危険が潜んでいると発見が遅れることになる」
運転者「甘く考えていました」
管理者「これからは、フロントガラスやサイドガラスなどが曇っているときには、すべて取り除いてから運転してくれよ」
運転者「はい、わかりました」
フロントガラスが曇っていても目の前だけをキレイにして、運転するうちに曇りが取れるだろうと運転する人がいます。このような運転をしていると、いつかは事故を起こすことになりますよ。