ある事業所の社員が、営業に訪問した会社の駐車場で、バックして車を止めようとした際に、後ろの塀に衝突する事故を起こしました。帰社した社員が事故の状況を報告しています。
運転者「すいません、○○会社の駐車場でバックするときに、後ろの塀にぶつかってしまいました」
管理者「相手の会社には、総務部長がお詫びの電話を入れてくださって、修理代を弁償するということで話がついたみたいだ」
運転者「申し訳ございません」
管理者「それにしても、なぜ塀にぶつかるまでバックしたんだ。塀があることはわかっていたんだろ」
運転者「ええ、わかっていたんですけど……」
管理者「後ろはちゃんと見ていたのか?」
運転者「車止めがあると思って、あまり後ろは見ていなかったんです」
管理者「君はいつも、車止めに当たることを前提にバックしているのか?」
運転者「ええ、だいたいそうですね」
管理者「それで、今回の事故は車止めに当たらず、後ろの塀にぶつかったというわけか?」
運転者「そうです……」
管理者「駐車枠の中央でバックすれば、車止めに当たらないことはないだろう?」
運転者「そうなんですが、少し車がずれていましたし、車止めが片方しかなかったんです」
管理者「でも、車止めに当たるまでバックするにしても、そろそろ当たりそうだなと思うところまで来て当たらないと、不安になってブレーキを踏むだろう?」
運転者「いえ、車止めに当たるまであまりブレーキを踏みませんね」
管理者「いつもそういう運転をしているのか?」
運転者「はい、車止めで止まるから大丈夫と思っていました」
管理者「そういう運転をしていると、今回のように車止めの位置からずれている場合には、後ろの塀に衝突したりするんだよ」
運転者「はあ…」
管理者「それから、たとえ車止めに当たっても、あまりスピードを出し過ぎている場合には、車止めを越えて後ろの壁などにぶつかることもあるからね」
運転者「越えそうになった経験が何度かありますね」
管理者「そうだろう、それと車止めがあると思ってバックしたら、無くて事故になったという事例もある」
運転者「そうなんですね」
管理者「車止めがあっても、壊れて地面にしっかりと固定されていなくて、動くこともあるからね」
運転者「はい」
管理者「バックで駐車するときには、車止めを当てにしてバックするのではなく、その手前で止まるつもりでゆっくりとバックしてくれよ」
運転者「はい、わかりました」
車止めは、車のスピードを止めるものではありません。車止めに当たるまでアクセルを踏んでいると、車止めの位置からずれている場合には、止まらずに思わぬ事故になることがありますよ。