ある事業所で、営業周りをしていた社員が、交差点を横断してきた小学生と接触する事故を起こしました。帰社した社員が管理者に事故の報告をしています。
運転者「すみません。横断歩道を渡ってきた小学生と事故を起こしてしまいました」
管理者「軽い事故で済んだみたいだけど？」
運転者「ええ。コケたときに足に擦り傷を負っていたので病院でも診てもらいましたが、骨折などはないということでした」
管理者「大けがでなくて不幸中の幸いだったけど、なぜ横断歩道を渡ってきた小学生と接触したの？信号は赤だったの？」
運転者「いえ、青信号でした」
管理者「小学生が赤信号で渡ってきたのか？」
運転者「そうなんです」
管理者「しかし、いくら君のほうが青信号でも、小学生が渡ってきたら見えているだろう」
運転者「それが、わからなかったんです」
管理者「どういうこと？」
運転者「右隣に車が一台止まっていまして、その車が死角になって横断してきた小学生が見えなかったんです」
管理者「そういうことか。隣の車のドライバーは小学生が渡ってきたんで停止していたんだな」
運転者「そうだったみたいで……」
管理者「隣の車が青信号なのに止まっていることに、何かおかしいとは感じなかった？」
運転者「あまり感じませんでした」
管理者「それで、何も考えずに隣の車の側方を通過して行ったというわけだな」
運転者「そうです……」
管理者「ところで、信号がない横断歩道の手前で車が止まっていたら、その側方を通過する場合、一時停止をする義務があるのは知っているよな」
運転者「そうなんですか。あまり意識したことはなかったです」
管理者「オイオイ、免許を取るときに習ったはずだけど、忘れてしまっているんだな」
運転者「すみません」
管理者「これは、停止車両の陰から歩行者が横断してくるかもしれないので、一時停止が義務づけられているんだ」
運転者「そうなんですね…」
管理者「そういうことを知らないので、横断歩道の手前に車が止まっていても、さほど疑問も抱かずに青信号だからと通過したんだよ」
運転者「申し訳ありません」
管理者「これからは、横断歩道の手前で車が止まっていたら、歩行者や自転車が横断してくると思って、一時停止して安全確認をしてくれよ」
運転者「はい、わかりました」
交差点を通行する際に、自分の進行方向の信号が青で通行できると思っても、隣の車が停止しているような場合には、渡り遅れの横断歩行者や自転車がいることを予測して、一時停止してくださいね。