こんにちは、野村です。
東京五輪の組織委員会がバタバタしていますね。偏見を持った言葉が、世間の怒りを買い呆れさせています。
さて先日、小説「コンビニ人間」を読み終えました。たった150ページなのにすごく時間がかかりました。
第155回芥川賞の受賞のこの作品。コンビニで働く女性主人公は、非常に合理的で感情の揺れが殆どありません。
ワタシはそこに共感を覚えず面白さを感じませんでした。これが芥川賞?とも思っていました。
ところが物語に同僚の男性が登場してから読書スピードが上がりました。この二人の関係性ややりとりが面白くて一気に読み終えました。
この男性言っていることが一見まともそうですが、実は支離滅裂で矛盾し自分勝手。偏見を持ち、職場差別や女性差別をまき散らします。被害妄想もあります。そんな自分が正しいと揺るぎない自信を持っています。
その言動を冷静に見ていた主人公が思います。差別をする人は差別への衝動や欲望を内部に持っている、被害意識は強いのに自分が加害者かもしれないとは考えない思考回路なんだな、と。
なるほどとワタシは納得しました。そうか差別対象は自分以外なら何でもいいのだ。例えば、他の地域でも他の市でもヒョットした隣町でも隣家でも。
また被害者意識のくだりは、「あおり運転はダメだ。後ろにつかれたら嫌だ。」と言いながら、自分は車間距離を詰めているようなものだなと思いました。(矛盾があり、またそれに気づかない、です。)
世間を騒がせている出来事とこの本に共通している点を感じました。認知の歪みや偏りは周りを不快にさせるだけでなく大きな問題を生みます。そんなことを思った今日この頃です。
(野村幸一)