ある事業所の社員が、マイカーで帰宅途中に黄点滅信号の交差点で出会い頭事故を起こしました。翌日出社した社員が管理者に事故内容の報告をしています。
運転者「すみません。昨日の帰宅途中に事故を起こしてしまいました」
管理者「だいたい聞いているが、接触事故程度で済んでよかったよ。君は黄点滅信号だったということは、相手方は赤点滅信号ということだよな？」
運転者「そうなんです。相手は赤点滅信号なのに一時停止もせずに進入してきたんです」
管理者「それで、避けられなかったというわけだな」
運転者「ええ、相手側に一時停止義務があるのに無視してきたんですから」
管理者「相手の運転はわかったけど、君はどういう運転をしていたの？」
運転者「どういう意味ですか？」
管理者「交差点に進入するときに、すこしくらいスピードを落としたの？」
運転者「いえ、落としていないですけど」
管理者「じゃあ、そのままのスピードで交差点に入ったということ？」
運転者「そうですよ。それが何か問題でもあるんですか」
管理者「じゃあ、聞くけど、黄点滅信号はどういう意味かわかっている？」
運転者「わかっていますよ。青信号と同じで『進め』の意味ですよね」
管理者「そういう認識なんだな。だから、スピードを落とさずに交差点に進入したんだな」
運転者「エッ、違うのですか？」
管理者「君のように、黄点滅信号の意味を青信号と同じような感覚で捉えている人も多いが、まったく違うんだよ」
運転者「どのように違うんですか？」
管理者「教習所でも習ったと思うけど、黄点滅信号は『他の交通に注意して進行することができる』という意味だ」
運転者「そうなんですか。青信号のような感覚で走っていました」
管理者「ところで、赤点滅信号の意味は知っているよな」
運転者「一時停止をして安全確認をする、という意味ですね」
管理者「そう、赤点滅の意味は知っているんだな。でも、こちらも徐行程度ですまそうとする人が結構いるからな」
運転者「そうですね。今回の相手も少しスピードを落としただけで進入してきましたから」
管理者「だから、点滅信号の交差点で出会い頭事故がなくならないんだよ」
運転者「僕も、交差点に入る前に少し注意していれば、事故は防げたかも知れませんね」
管理者「そう、点滅信号がある交差点では、双方のドライバーがともにルールを守らないことで事故になっているんだよ」
運転者「そういうことですね」
管理者「どちらかがルールを守っていれば、相手がルールを無視しても出会い頭事故は起こらないんだよ。これからは、点滅信号の意味を正しく理解してルールを遵守してくれよ」
運転者「はい、わかりました」
