ある事業所のマイカー通勤をしている社員が、帰宅中に横断歩行者と事故を起こしました。翌日、出社した社員が管理者に事故の詳細を報告をしています。
運転者「すみません。右から横断してきた歩行者と事故を起こしてしまいました」
管理者「右から横断してきたのか?」
運転者「ええ、中央分離帯があるところを右から歩行者が横断してきたんで、どうしようもありませんでした」
管理者「でも、少し注意をしていたら分かったんじゃないの?」
運転者「いや、中央分離帯の植木の間から出てきたんですよ。分かりませんでした」
管理者「ということは、まさか横断者がいるとは思っていなかったんだな」
運転者「そう言われればそうなんですが、中央分離帯があったんで意識が右側に向いていなかったのは事実ですね」
管理者「そこに事故要因の一つがあるよな。ところで、事故を起こした場所は、どのあたりだった?」
運転者「○○町の交差点を過ぎたあたりです」
管理者「ああ、あのあたりか。それなら、右側にショッピングモールがあっただろう」
運転者「そうですね」
管理者「事故を起こした時間は?」
運転者「会社からの帰宅途中でしたから、6時45分頃でした」
管理者「その時間帯は、ショッピングモールに買い物客が多くいる時間帯だよな?」
運転者「たしかにそうですね」
管理者「ということは、買い物客が無理に道路を横断して来てもおかしくはないよな」
運転者「それは、そうですが‥‥」
管理者「そこまで予測できなかったことが、もう一つの事故要因だったと思うよ」
運転者「うーん……」
管理者「まず、中央分離帯があることで、君は右から横断してくる歩行者はいないだろうと油断した」
運転者「そうですね」
管理者「次に時間帯だが、昼間の午後2~3時なら横断してくるリスクも高くないかもしれないが、買い物客が多くなる時間帯となると、横断リスクも高くなる」
運転者「それを予測していなかったということですね」
管理者「そう、中央分離帯があっても、その隙間から横断してくる人はいるし、とくにショッピングモールがあるような場所では、そのリスクは高くなるということだ」
運転者「そうですよね」
管理者「これからは、中央分離帯がある道路では、右から横断してくる歩行者はいないと考えるのではなく、その隙間から横断してくるかもしれないと考えて、右側に対する注意を怠らないようにしてくれよ」
運転者「はい、わかりました」
中央分離帯があっても、右から横断してくる歩行者がいないわけではありません。とくに、ショッピングモールなど人が集まる施設がある所では、右側への注意を怠らないようにしてくださいね。