ある事業所の社員が、交差点を右折する際に事故を起こしました。帰ってきた社員が管理者に事故の状況を報告しています。
運転者「すみません。○○交差点を右折するときに、左からきた車と接触事故を起こしてしまいました」
管理者「右折時に、左から来た車と接触？ もう一つ事情が分からないな。もう少し具体的に説明してくれないか？」
運転者「○○交差点の手前で右折レーンに入ろうとしたんですが、左から車が割り込んで来たんです」
管理者「そこで、接触したのか？」
運転者「そうです」
管理者「何か変だな。左から右折レーンに入ろうとする車は、右折レーンが始まる手前から徐々に車線変更していくので、強引に入ってくることはないと思うんだがな」
運転者「うーん……」
管理者「ところで、○○交差点の右折レーンの手前には、確かゼブラゾーンがなかったか？」
運転者「ありました」
管理者「あるよな。ひょっとして君は、ゼブラゾーンを走行してたんじゃないか？」
運転者「すいません。実はゼブラゾーンを走行して、そのまま右折レーンに入ったんです」
管理者「それで、左から右折レーンに入ってきた車と接触したというわけだな」
運転者「そうです」
管理者「ところで、君は何でゼブラゾーンを走行したんだ」
運転者「直進車線が混んでいて、なかなか右折レーンまでたどりつけなくて、このまま行けば信号が変わって右折できなくなるんじゃないかと思ったんです」
管理者「右折レーンに入って来た車は、まさか君がゼブラゾーンを走行して来ているとは思っていないから、事故のリスクが高くなるよな」
運転者「そうですね。ビックリしたと言っていました」
管理者「ところで、君はゼブラゾーンの意味を知っているよな」
運転者「免許をとったときは、覚えていたんですが……」
管理者「ゼブラゾーンは、車が安全・円滑に走行することを誘導するために設けられた導流帯で、多くは交差点の右折レーンの手前などに設けられている」
運転者「そうですね」
管理者「だから、ゼブラゾーンを走行しても違反になるわけではないが、ほとんどの車は走行しないので、そこを走行する車がいると事故になることがある」
運転者「そういうことですね」
管理者「また、ゼブラゾーンを走行するときは、先を急いでいるときが多くて、他の危険が見えなくなるから注意が必要だ」
運転者「そうですね。左から入ってくる車の発見が遅れました」
管理者「これからは、どんなに急いでいても、ゼブラゾーンを走行しないようにしてくれよ」
運転者「はい、わかりました」
ゼブラゾーンを走行しても、違反になるわけではないという軽い気持ちで走行していると、いつか事故を起こすことになります。いつ、いかなるときでも、ゼブラゾーンを走行しないでくださいね。