SSD研究所では、2023年7月12日(水)から14日(金)の3日間にわたり、「企業研修担当インストラクター養成講習」を開催しました。
今回は、千葉県の稲毛自動車教習所様から2名の教習指導員の方が参加されました。
ご受講にあたり事前に頂戴したご要望は、企業様から安全講義のご依頼を受けた際に、プロフェッショナルとして対応できるインストラクターの養成です。
そこで従来の講習会の内容を大幅に変更し、座学で活かせる知識の蓄積や指導技術、及びその向上を図ることを目的に実施しました。
企業様との打ち合わせの段階でのテーマ決定及び内容の作成、実施段階では参加者の興味を引く内容や伝え方、納得性の高い表現方法等、広い範囲についてお伝えしました。
進め方としては、初めに企業研修の基本的な考え方について時間をかけてご説明しました。理由は、この点の本質的理解が企業研修の成果を左右すると弊社では考えているからです。
ここでは理解を深めていただくため、事例を多くあげて具体的なイメージを持っていただくよう留意し、加えて様々な状況への対応をご説明しました。
今回受講される方々は教習業務に普段ついておられます。また、企業研修の実車での観察や指導は行っておられます。しかし企業研修の座学については担当経験がない方です。
そのため実際に座学研修がどのようなことを行なっているのか、またすべきなのかといった不安をお持ちでした。そこで、弊社の失敗例を紹介しながら随時質問をまじえて理解の度合いを確認しながら進めました。
続いて運転行動の観察について知識提供と演習を実施しました。効果的な研修をおこなうための根幹である、ドライバーの運転行動の視点を増やしていただくためです。
どのような観点で、どのような点をチェックするのか、運転経験の少ない方と豊富な方ではどのような違いがあり、どのように進めるのかなどを詳細に説明しました。
これらは座学と実技を違うものとして扱うのではなく、それぞれの長短を活かし連動されることでより効果的な研修ができ、ドライバーの運転行動の変容につながることの理解を狙いとしました。
実車を使用し、弊社インストラクターの模擬走行を行ないました。具体的に初心者の運転傾向の特徴を実際に見ていただくことで納得性を高めました。
2日目からは、弊社が実施している座学例を紹介し、基本的な考え方、注意点、陥りやすいケースとその対応策、座学に必要な周辺知識を詳細に説明しました。
受講された皆様が非常に熱心に受講されたこともあり、3日間の講習の結果、お伝えしたい内容について理解と習得をされたと考えます。
業務で社有車を使用する企業様にとって、事故抑止は企業活動を継続・推進する上で重要な課題となっています。このような状況の中、自動車学校は事故抑止の教育機関として脚光を浴び始めています。
自動車学校が持つ施設や実車によるトレーニング等の安全研修は、本来業務である運転免許証取得のお手伝いだけでなく、社会の要請や企業ニーズに対応できる教育機関としての側面を拡大させる機会と言えます。企業から事故抑止教育のプロとしての信頼を得ることで、継続した研修のご依頼をいただくことが可能となります。
実際に、多くの企業様より研修内容や実施可能な自動車学校等についてのお問い合わせをいただくことも増加しております。
■企業研修担当インストラクター養成講習とは
本講習は、企業様への安全運転研修を担当するインストラクターの方を対象としています。
通常の運転免許証を取得するための技能教習に加え、新たに企業研修の実施や、更なる企業ニーズに対応した安全教育への取組みの推進を模索されている自動車学校様のお手伝いさせていただくために実施しております。
また、本講習は少人数で行いますので、講習内容を深く理解していただくことができます。加えて、意見交換や質疑応答も行いますので、受講後に自動車学校の同僚や、後輩、先輩のインストラクター、他のスタッフの方皆さんで一丸となって体制づくりに取り組むために、何が必要なのかを理解し、身につけていただくことが可能です。
講習の狙いは、企業研修を実施するにあたって、継続的な利用をいただくための知識、考え方、指導上のスキルアップを図ることです。
座学と実技を組み合わせ、「企業研修の本質理解」「企業研修の基礎知識」「対象者別の指導ポイント」「研修の模擬体験」「実技チェックとアドバイス方法」などを理解していただいています。
■企業研修担当インストラクター養成講習の内容
弊社の「企業研修インストラクター養成講習」には、大きく分けて2つのポイントがあります。
ひとつは、座学により企業研修の全体像と企業側から見た望ましい研修実施の心構えや考え方、技能教習と企業研修の違いをご理解いただくことです。
もうひとつは、演習による企業研修の体験です。適性テストや実技チェック、アドバイスなど、受講者とインストラクターの両方の立場から体験していただきます。 ※今回はこの部分は少なくしました。
そうすることで、留意点を直接感じることができ、効果的な研修の進め方を理解できます。
しかし、これらの知識だけでは、効果的な研修を行うことはできません。自らの視点を増やし、状況を広く理解し行動する態度が必要です。そのため、インストラクター自身が成長していこうとする姿勢の必要性を講習の中で繰り返し伝えています。
受講者インタビュー
講習を受講された2人の方にインタビューをさせていただきました。
T.Kさん
Q.この講習で気づかれたことはありますか?
A.教習と企業研修がまったく違うことを気づきました。例えば座学における映像を流すタイミングについても違いがあることなどです。
Q.この講習を受けた印象をお教えください?
A.業務における重さの違いを認識しました。重さとはもちろん教習でもそうなのですが、一つのミスが企業様の信用を失い、以降の契約を失くすこともあるなどです。
例えば、受講者数が多い場合には莫大な金額が動いているのが一つのミスで契約を失うということです。その責任を自覚しなくてはいけないと再認識しました。
Q.どういう点が一番印象に残っていますか?
A.企業様の求めている目的をキチンと意識して研修にのぞまないとトラブルになることです。社内の全員でその認識を共有することが大切だと思いました。
Q.理解が深まったのはどのようなことですか?
A.観察してからのフィードバックの具体性です。今までは抽象的になっていたことを再認識しました。どのような場面でどのような運転をしていたかを観察しフィードバックすることを学びました。
Q.今後の努力目標をお聞かせ下さい。
A.今までは企業研修で技能を担当していましたが、これからは座学も取り組んでいきたいです。そのために知識を増やしていきます。具体的には、今年の12月までには安全に関連する本などを3冊読みます。
I.Hさん
Q.この講習を受けた印象をお教えください?
A.企業研修に対するイメージがガラッと変わりました。そして、最初にお話を伺ったように、自分が「成長する」「変わる」ことが大事だと思いました。
企業研修に対して今まで思っていたことと違っていたことが沢山ありました。運転チェックを含め、企業の求めているものが今まで思っていたことと差があり、自分はまだまだ未熟だと思いました。これから勉強をしていきます。
Q.どういう点が一番印象に残っていますか?
A.これは教習と同じとは思いますが、知識は多ければ多いほどよいことです。もちろん相手によってその出し方は変えないといけないし、それがお話しにあったようにプロフェッショナルになることだと思います。
Q.理解が深まったのはどのようなことですか?
A.企業研修の特殊性である「二重性」です。企業側の求めていることをこちらで勝手に変えるのではなく、依頼を受けたことを約束として守ることです。
Q.良かった点はどのようなことですか?
A.教習と企業研修の違いに気づけたことです。また、やり方だけでなくビジネスの視点のお話を聴けたことも収穫です。
Q.今後の努力目標をお聞かせ下さい。
A.今は企業研修の実技をメインに担当させてもらっています。この中でもアドバイスをこと細かく伝えることを意識します。
例えば今までは「もっとゆっくり」などと説明をしており甘さがありました。今後は具体的に数値をできる限り使った表現をします。今後は学んだことを活かして企業研修に当たります。
受講の感想文
受講後にお書きいただいた2名の方の感想文(一部)を記載します。
T.Kさん
企業研修と教習業務の違いを学ぶことができました。
観察後のフィードバックを受講者に伝える際、例えばミラーを見る回数や確認時間など、ウィークポイントを具体的に伝えていなかったことを知りました。
今後は、企業研修で座学を行なうための知識を増やします。
I.Hさん
企業研修での運転チェックなどが教習寄りになっていることに気づけました。また、企業様の研修に求めていることの本質を理解する良い経験をさせていただきました。
失敗した話なども聞かせていただき参考になりました。リピートしてもらえる研修を行なえるよう日々の研鑽を行ないます。
今後は座学も実施できるように、もちろん、企業様へ出向いて行なえるようになるまで成長したいです。
――ありがとうございました。今後の皆様のご活躍をお祈り致します。
【企業研修インストラクター養成講習 データ】
〈日時〉
令和5年7月12日(水)~ 7月14日(金)
〈場所〉
大阪地区 SSD研究所提携自動車学校
〈参加者〉
稲毛自動車教習所 教習指導員2名様
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