ある事業所に、会社の名前が入った社有車が自分の車の前に強引に入ってきて、もう少しで事故になりそうだった、と苦情の電話がありました。当日苦情があった周辺を走行してた社員に事情を聞いています。
管理者「昨日午後3時頃、○○交差点付近のA社の駐車場から、うちの車が強引に自分の車の直前に出てきて追突しそうになった、と苦情の電話があったんだけど、昨日その辺を走行していたのは君だよな?」
運転者「はい、そうです。確かにA社の駐車場から出るときに乗用車が来てたんですが、そんな危険なタイミングで合流したという記憶がないんです」
管理者「でも、先方は、カンカンに怒っていたぞ」
運転者「すみません」
管理者「駐車場から合流するときに、安全確認はしたんだろ?」
運転者「もちろんですよ」
管理者「それで合流できると判断したということだな」
運転者「そうです」
管理者「そうか、君は自分の行動に気づいてないかもしれないけど、道路に合流するときや車線変更のタイミングが、案外強引なのかもしれないぞ」
運転者「そんなことはないですよ。私はこれまで事故を起こしたことはありませんし、ゴールド免許ですよ」
管理者「それは知ってるよ。言いたいのは、事故を起こしたかどうかではなく、これから事故を起こすかもしれないことを危惧しているんだ」
運転者「どういうことですか?」
管理者「他車にブレーキを踏ませるタイミングで合流するということは、その車の運転者がわき見などをしていてブレーキが遅れたら、君の車に追突する可能性もあるということだ」
運転者「うーん……」
管理者「それから、その車がブレーキを踏んで事故を避けられたとしても、その後ろにいる車は突然前車がブレーキを踏んだことに対応できず、前車に追突するかもしれない」
運転者「そうですね……」
管理者「君は、苦情がきた運転行動をあまり記憶に残っていないようだが、実は事故につながりかねない運転だったということだ」
運転者「そうなんですね」
管理者「それから、君はさっき事故を起こしたことがないと言っていたが、それは他人のお蔭もあると思うよ」
運転者「どういうことですか」
管理者「他車がブレーキを踏んで何とか事故が避けられていることを、自分は安全運転者だと勘違いをしているのではないかということだよ」
運転者「えっ、そんな……」
管理者「それでは、相手の立場で考えてくれ。君が道路を走行していて、駐車場から急に目の前に車が割り込んできたらどう思う?」
運転者「それは、『危ないじゃないか』と怒りますね」
管理者「そうだろ。君も同じ危険なことをしたんだよ。こうした運転をしていると、いつかは事故を起こす危険な運転だと言いたいんだ」
運転者「そうですね」
管理者「これからは、合流するときや車線変更するときには、他車にブレーキを踏ませないタイミングで行うようにしてくれよ」
運転者「はい、わかりました」