危険運転致死罪の判決

 こんにちは、野村です。

 

 大分市の県道で死亡事故を起こした男に懲役8年(求刑11年)の実刑判決が言い渡されました。

 

 2021年2月に当時19歳の男が運転する乗用車が、制限速度60キロの道路を194キロで走行し、右折してきた対向車と衝突して運転していた方を死亡させたものです。

 

 男は当初「過失運転致死罪」で起訴されましたが、遺族らは懲役7年以下の「過失運転致死罪」から、最長で懲役20年の「危険運転致死罪」への起訴内容の変更を求め、大分地検は訴因変更しました。

 

 裁判長は「操作のわずかなミスで事故を発生させる実質的危険性がある速度での走行」と指摘し、危険運転に該当する行為のうち「制御困難な高速度」について認定しました。

 

 昭和大学の城教授は、真っ直ぐな道を高速度で走行したことを制御困難な高速度と認定したのは価値が高く、他の裁判に与える影響も大きいと思うと述べています。

 

 危険、悪質な行為を処罰対象に加える議論が行われています。「ながら運転」もそのひとつです。現時点ででは車内行為の立証が困難であると慎重な検討がされていますが、適用されれば現在より重い罪となります。

 

 適用のハードルが高い、適用基準が曖昧だといわれる危険運転致死傷罪ですが、法務省は改正の必要性などの議論を進める方針です。社会全体の認識が変わってくればさらに適用範囲は広がると思います。

  

                                           (野村幸一)

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